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卒業設計
2016年度

■新しい住人がふるさとの風景をどんどん食いつぶしていく現況の中、ふるさとの風景を守り、新しい住人もふるさとの風景を愛し、しかも、ふるさとの風景に花をそえる、そんな住宅群の提案■
設計:若林寛和

 岡山県倉敷市福田町は私のふるさとだ。田園地帯の中を通る道に住宅が点在する風景が広がっている。航空写真で見ると菱形をした区画がどこまでも連続し、連続する道は果てなく延びていくように感じさせる。朝方は靄が立ち上り、夕日が広い田んぼを染めていくのは印象的だ。視線を下に向けると横を流れる用水路に空や住宅が映り、私の歩きに合わせて流れていくかのように変化していく。用水路を泳ぐメダカやタナゴが私の影に驚き散っていく。道を辿りどこまでも歩きたくなる、私の好きな風景がそこにはある。
 しかし、住宅地化が今まさに本格的に始まり、在り続けた風景が失われている。広い田畑、どこまでも延びる道、用水路、人々が生活する住宅のある風景。好きなふるさとの風景として私はこれらを欠くことなく守り残したい。

 ふるさとの風景に起きている問題は、新しい住民が風景とは無関係な住宅地化で風景を食いつぶしていることにある。
 そこで本設計では、無関係となる原因を解消し、ふるさとの風景を守り、新しい住民もふるさとの風景を愛し、ふるさとの風景に花を添えるような住宅群の提案を目的とする。