■日本建築空間体感装置 ~20かみと人をめぐる風景を媒介にした空間変容結晶体〜■
設計:石上智貴
「日本建築」という言葉を聞き、美しく彩られた寺社仏閣や城郭の外観を思い浮かべる人は多くいるだろう。一方で、そういった建築の空間構成全体に意識が向けられることは少ないように思われる。歴史の流れの中で、様々な要因から幾度も変容を重ねてきた空間構成は、「建築そのものの本質、あるいは当時の人々の価値観や思想が鮮明に刻印された歴史の代弁者」であると言える。 現代の日本において、そういった歴史観に由来する建築はほとんど無い。その反面、由来無く抽象度の高い建築が多く見られ、それらが、歴史に影響を受けていない自由度の高い新鮮な建築として他国に評価されている一面がある。 しかし、こういった現代の日本建築がこれまでの歴史とこれからの歴史の間に入り、歴史の1つとなるには、日本独自の固有性、思想性が希薄であるように思われる。今こそ、歴史の代弁者の声に耳を傾け、これからの日本建築のあり方を再確認するときではないか。 そこで、この対話の媒介となりうる装置を提案したい。





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