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卒業/修士設計
2012年度

■僕は掘る■
設計:竹田佳祐

 現在、日本では多くの地域で過疎・少子高齢化の問題が深刻化している。その中で、少しでも人口を増やそうと様々な対策が講じられてきた。今回の対象敷地である高島も同様の状況であり、過疎・少子高齢化が進み、空き家を安く貸し出すなどの対策が行われている。しかし、そのような政策が功を奏し、移住者や観光客が増えたとして、果たして、島民はそれで嬉しいのか。島には昔からの居住者によるコミュニティーがしっかり確立されている。そこに多くの新参者が現れるという結果を、私は嬉しいとは思えない。それよりも、自分たちの祖先が歩んできた歴史を感じながら、静かに終わりを待つのが良いのではないか。高島には巨石を使った遺跡や石切り場の跡がいたる所にみられる。島民の祖先は古代の巨石信仰から始まり、近代の石切など、その歴史を石と共に歩んできたと思われる。その歴史を感じて終わりを待つ在り方を考えてみたい。