■連結田畑を囲む方位住宅■
設計:松木俊之
本設計では、高知県香美市土佐山田町を対象とし、旧い空間と新しい空間が調和したこの地区ならでの型を備えた新たな居住風景を創出していくことを目的とする。
土佐山田町は主要街道沿いの中心街や古くから残る緑豊かな農村を内包した地区である。緩やかな段丘の上に位置し、田畑が棚田のように広がり、緑豊かな魅力ある風景が広がっていた。
しかし、戦後の場当たりな都市開発により、田畑が切り売りされることによる宅地化や、車道などが増築されるなどの無秩序なスプロール現象が起き、土佐山田町全体で無秩序な空間が広がりはじめている。
地区型空間とは京都や白川郷が著名である。しかし、一見特徴の無さそうな空間にも地区型が存在するのではないか。
土佐山田町は無秩序で、特徴の無さそうな地区に見える。しかし旧い街路と新しい街路がかけ合わさる事により、田畑が半中庭化や変則的なグリッド街路が出来ている。このように新たな風景を生み出すことのできる弱い型が見え隠れしている地区である。しかし、現在のままでは場当たりな宅地計画や新期の街路の建設のために、地区の中にかいま見える新旧の弱い型がすべて失われてしまう。
そこで、現在の空間構成から読み取る事の出来る新旧の弱い型を強い型へと変換させ、楠目地区ならではの空間を構成する型を与え、他の場所では代替可能なものではない、唯一無二の新たな地区型空間を提案する。提案する地区型空間の風景は旧い空間と新たな空間が調和した空間であるため、今後も継承していくべき空間構成であるといえる。






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