地域地球型建築をめざして

地域・環境建築デザイン研究室:渡辺菊眞

 現在、さまざまな環境問題の噴出によって地球は危機的な状況に直面しています。そんななか、建築の分野においても持続可能な社会に向けて「環境に配慮した建築」の構築が重要課題とされています。

 「環境に配慮した建築」とは、その建築が建つ地域の風土や自然条件に適応しつつ時に対峙するような建築です。そういう意味では世界各地に建つ伝統的な民家=「地域型建築」は、そのまま「環境に配慮した建築」といえ、それらの特性を把握・活用することが大きな意味を持ちます。

 しかし、どんな建築でも、ある地域にあるのと同時に地球にもあります。ある建築を包む環境とは、地域環境であり同時に地球環境でもあるのです。事実、現在引き起こされている環境問題は地域の問題をこえ地球全体の問題にまでひろがっています。よって現在、真に「環境に配慮した建築」を目指すのであれば、地域環境と同時に地球環境に配慮する建築=「地域地球型建築」である必要があります。地球の中にある建築として今後あるべき姿を模索していくこともまた重要なのです。

 「地域地球型建築」は、すぐそこにあるかけがえのない場所に寄り添い時に屹立しながら、同時にこの星にあることを想う建築です。それは、この星を巡る自然環境に適応しつつ地域固有の環境問題にも適応する建築であり(地域地球環境適応建築)、すぐここにやすらいながら、ここを包むより広大な世界や宇宙に想いを馳せることができる建築(地域地球感応建築)です。

 渡辺菊眞研究室ではそんな「地域地球型建築」の構築をめざして日々、研究・創作活動に取り組んでいます。